広告プレゼンの聞き方 ~提案採用可否の判断ポイント~

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広告プレゼンの聞き方 ~提案採用可否の判断ポイント~

広告会社は広告主からのオリエンテーションに沿って企画を練りますが、いよいよそれを提案する場がプレゼンです。商品の来期の宣伝計画をトータルに提案してほしい、メディアプランが欲しい、CMを作りたい、ネーミングをしてほしい…広告主がそもそも何をプレゼンに求めるのかは千差万別ですが、今回は提案を受ける側の立場から押さえておきたいポイントをいくつか紹介していきます。


広告プレゼンの種類

指名プレゼン

提案を求める相手を1社に絞る場合を指します。単純に「指名で」や「1社プレゼン」などと言ったりもします。依頼先の広告会社に同様の企画の大きな実績があったり、すでに継続的に作業を発注していたりする場合、この形をよくとります。商品の説明などを一からしなくてもよいので広告主側の労力も少なくて済むことも多く、プレゼンに至るまで依頼先と密にコンタクトを取りつつ企画をブラッシュアップできるので、双方にブレの少ない効率的な作業になる利点があります。この方法をとる場合の判断ポイントは、広告会社との信頼関係、ともいえます。

競合プレゼン

2社以上に提案を求め、最終的に1社の案を採用するプレゼンを指します。課題に対しての新しい視点を求め、かつ幅広く案を募りたい場合、この形をよくとります。公平性を担保するためオリエンテーションの役割がより重要視され、各社はその内容とルールに沿ってより優れた企画立案に知恵を絞ることになります。またプレゼンのわかりやすさや、競合社に対する印象度をアップさせるため提出物の出来栄え自体にもより気を配る傾向があります。

Tips 「指名」にも「競合」にもそれぞれのメリットがある

広告プレゼン当日までに広告主が行うこと

オリエン(オリエンテーション)

広告主が実施するオリエンは広告会社に提案の方向性を指し示すだけでなく、提案の質そのものを左右する重要なステップです。いわばプレゼンに向けての羅針盤になるものなので、慎重に作成しましょう。オリエンシートなどに書き下ろして依頼先に配布、担当者から説明するのが一般的です。広告主が求める内容によってシートの項目も変わってくるでしょうが、共通して言及すべき項目は以下になります。

・商品・サービスの特徴
・ターゲット
・目的 (認知度アップ、売上拡大、問合せ数の増加など)
・目標 (目的に応じて、その達成度を測定するための数値など)

・求める提案内容(提案物) 
・予算と期間
・その他特記事項

などを書き込みます。もちろんその時点では明示しづらい箇所があるかもしれませんが、いったん広告主側の意志として言語化しておくことは重要です。

競合の場合、各社のスタッフを一堂に集めてオリエンをする場合もありますし、個別にオリエンする場合もあります。会議室の都合で参加人数を制限しなくてはならない場合、1社につき〇名まで、と示す場合もあります。

また特に規模の大きな提案になる場合、提案物制作に相当額の実費がかかるので、プレゼン費として各社に○○円を支払う、と明示する広告主もいます。

Tips オリエンは提案の良し悪しに大きく関わる「羅針盤」

各社からの質問対応

オリエンを実施した後、広告会社は企画立案に入ります。その中でオリエンシートの内容について、あるいはオリエンシートに明示されていなかった案件について疑問点や確認したい部分などが出てくることがあります。オリエン当日、あるいは後日、広告主の担当者は受けた質問に対し適宜回答していきます。競合プレゼンの場合注意したいポイントは、各社から個別に交わされた質問と回答はできるだけリスト化して参加社すべてに共有することです。それが競合の公平性を担保することにつながります。

Tips 競合プレゼンでは個別の質問/回答も全参加社に共有して公平性を担保

 

プレゼン当日

プレゼンのチェックポイント1

プレゼン当日は広告主にとってもプレゼンする広告会社にとっても一大イベントです。特にプレゼンする側はどんなにベテランのスタッフでも緊張するものです。過度にくだけた空気感を出すことはありませんが、広告主側も適度に話しやすい雰囲気づくりをすることも大切です。

プレゼンがはじまったら、提案社の企画内容にまずはじっくり耳を傾けましょう。大きな競合プレゼンの場合などは、本番さながらのビデオ動画などを制作して説明するような参加社もあるでしょう。ただしその出来不出来は提案の良し悪しの本質とは異なる場合があります。その時に立ち戻って検討したいのはオリエンシートです。

・提案の内容がそもそものオリエンから大きく逸脱していないか
・求めた提案物が網羅されているか
・提案自体に新規性はあるか
・企画実現の可能性はどうか
・戦略に一貫性があるか
・何より提案を聞いてワクワクするか

などのチェックポイントを設定してひとつひとつ客観的に判断していくことが大切です。競合で提案を受ける場合、上記のようなチェックポイントを評価表に落として点数を入れ、後で持ち寄って社内協議をする広告主もいます。

Tips チェックポイントを設定してプレゼンを傾聴

プレゼンのチェックポイント2

先ほど「提案の内容がオリエンから逸脱していないか」をチェックポイントとしてあげましたが、時としてオリエンで示した前提をあえてずらした提案がなされることがあります。例えばオリエンでは「テレビ出稿のプランを提出せよ」としていたのに、「テレビだけではなく新聞出稿と組み合わせるべき」といった逆提案です。当然その広告会社は何らかの根拠があってそうすべきと主張しているので、理由をしっかりと聞きましょう。その上で提案の戦略に破綻がないかを再度検討します。

重要なのは、少しでも可能性を感じる提案であるならば多少オリエンから離れた内容であってもすぐに排除しないという心構えです。それによって思い描いた以上の成果につながることがありますし、それこそが客観性と提案力を持った外部の会社にプレゼンの依頼をする意味ともいえるでしょう。

Tips オリエンの主旨と離れた提案でも思わぬ可能性が



広告主からの質問

制限時間内にひととおりプレゼンを受けたら、広告主から提案社へ内容についての質問タイムです。疑問に思ったこと、よく理解できなかったことは遠慮せずに投げかけましょう。提案社によってプレゼンの上手い下手もありますし、うっかり説明しそびれることもあります。質問して回答を得ることによって深く企画の本質を知ることも多く、より良い提案を採用することにつながります。

プレゼン結果

各社への通達


上記のようなプロセスを経て最終的に社内で採用企画が決定したら、提案した各社へ結果を通達します。各社の営業担当に連絡を入れるのが一般的です。通達に際しては採用となった決め手や、不採用となった理由などをできる限り伝えるようにします。特に大きな競合プレゼンなどの場合は参加社の中で作業に携わったスタッフも多く、レポートラインへの報告が必須ですので、採用不採用に関わらず可能な範囲で結果に至った経緯を伝えます。それによって仮に今回は不採用であっても、また次回のプレゼンのより良い提案につながることも多いのです。

Tips 採用・不採用に関わらず可能な範囲で結果に至った経緯を伝える

再プレ(再プレゼンテーション)について

一度プレゼンは受けたものの、もう少し企画の精度を上げてほしい、ある部分の企画を練り直してほしい、追加で提案してほしい、などといった場合、再度広告会社にプレゼンを依頼することがあります。この場合も当初作ったオリエンシートほどのボリュームでなくとも、依頼したい内容を改めて整理して伝えることが必要です。また再提案を求めたのは1社なのか、複数社なのかもできれば合わせて伝えます。



まとめ

プレゼンの種類からチェックポイントを時系列的に説明してきました。
プレゼンは広告主と広告会社との共同作業とも呼べます。より良いプレゼンを導き出すために広告主からのオリエンは重要ですし、プレゼンの場ではここまで「受け手のポイント」として示したような視点をもってしっかり提案を聞き、質問を投げかけながら企画の狙いや可能性を確認したいところです。それによって、より目的にかなった広告展開をすることができますし、時には与件としていた前提条件を一度取り払って戦略を発展的に見直すこともできるのです。


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