見逃したテレビ番組がまだ見られる!当たり前になったタイムシフト視聴

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見逃したテレビ番組がまだ見られる!当たり前になったタイムシフト視聴

はじめに ~テレビ視聴態様の移り変わり~

最近、テレビを見ない若者が増えていると言われています。かつては志村けんを輩出したドリフターズの「8時だョ!全員集合(TBS系土曜日夜8時放送)」に代表されるような、夕食のあと、お茶の間で家族揃ってテレビを見るという習慣がありました。同じ時間帯の裏番組でビートたけしや明石家さんまの「オレたちひょうきん族(フジテレビ系)」をぶつけて、激しい視聴者の争奪戦を繰り広げていたこともありました。そこに、日本テレビ系のドル箱だったジャイアンツ戦もあり、土曜の夜は街から人がいなくなって、夜の商売は上がったり、なんて時代はいまとなっては遠い昔の話ですね。特に、土曜日の夜は翌日が日曜日でお休み、ということもあり、夜8時と言えばいわゆるゴールデンタイムの中でも最も価値が高い時間だったかも知れません。

その後、時代の移り変わりとともに、ライフスタイルもどんどん変化してきました。女性の社会進出や、少子高齢化の時代背景と共に、アナログからデジタルへここ10年ほどで劇的に変化しています。その変化に呼応するかのように、デジタルデバイスが進化し続けて、いまやスマホ一つあれば、何でもできてしまう世の中になってきています。
2021年の流行語のひとつでもある、「Z世代」という1990年後半から2000年代に生まれた若者たちは、まさにスマホを持ってこの世に生まれてきたようなもの。勉強するのもスマホ。ゲームをするのもスマホ。友だちと連絡とり合うのも、家族とのコミュニケーションもスマホです。手のひらサイズのデバイスが、情報の扉、社会や人々と繋がるインターフェイスになっています。

そんなZ世代の人たちを中心に考えると、タイムシフトなんて「何それ、アルバイトの予定表のこと?」なんて言われてしまいそうですが、少し歴史をさかのぼってみてみましょう。

タイムシフトとは

タイムシフトが当たり前の世代の人たちにとっては、いまさらという感じは拭えませんが、いまこの時代に到るまでは試行錯誤の歴史でした。 そもそも、タイムシフト、つまり見逃した番組を後から視聴することのニーズが高まった背景には、経済成長に伴って忙しくなったことのみならず、コンテンツ業界の活況とグローバル化で、日本で視聴可能な番組コンテンツが次々と増えてきたことが影響していると言えます。

振り返ってみると、かつてドラマのTBSと呼ばれていた時代には、日曜21時の東芝日曜劇場や、水曜日21時の「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」などファミリー向け中心から、金曜日の21時には不倫をテーマにした「金曜日の妻たちへ」と、時代と共に内容もほのぼのとした家族に向けたものから、時代性を反映した内容にシフトしていきました。そして、働く女性(OL)を明確なターゲットにしたフジテレビ系列の月曜21時ドラマ、いわゆる月9(月曜夜9時の略)のトレンディドラマに至っては、連続ドラマを観るために月曜日は早く帰るという現象までおこったため、月曜日に飲み会を企画したおじさんは「空気を読めない人」として、肩身の狭い思いをしたものです。

そこで、そんなおじさんたちをにわかに救ってくれたのは、録画機能が充実したビデオデッキの登場です。広告業界泣かせの「CMスキップ」機能や、倍速機能が付いた商品が登場し始めたのはこの頃のこと。きっと、同じように「月9の空気が読めない」研究者たちが知恵を絞りぬいて考えたに違いありません。リアルタイムに視聴するのではなく、時間差で視聴することがタイムシフト、という解釈をすれば、録画も立派なタイムシフト視聴です。やがて、ビデオテープから、DVDやハードディスクに記録メディアが進化すると、タイムシフトも「追っかけ再生」と言う録画の途中でも再生可能な機能がつくようになりました。
海外でも、ハリウッドの豪華キャストやスタッフで制作されたテレビドラマシリーズで話題になったツインピークスや、主婦をターゲットに爆発的にヒットした韓流(はんりゅう)ドラマシリーズなどが流行したのは記憶に新しいと思います。

レンタルビデオの時代からオンデマンド、サブスクモデル、定額見放題へ

上記のような流れで、デジタル技術の進化と共に、膨大な動画情報をストックできるサーバーやストレージといったものが大容量になってきました。現在、みなさんが最も身近に感じられる動画と言えば、YouTubeではないでしょうか。情報通信速度も加速しています。日本はまだまだ設置場所の拡大が遅れていますが、wifiの普及により、動画もストレスなく、ほぼfreeに近い環境での視聴が可能になってきています。レンタルビデオはもはや過去のもの。いまや、見たい映画を見たい時に見たい場所で視聴することが可能になっています。発信者側の都合ではなく、視聴者の要求で見たい時に視聴できる。これをオンデマンドと呼んでいます。

映像コンテンツの供給側もどんどん多様化しています。NHKをはじめ民放各社も、地上波、衛星波テレビ番組にとどまらず、それぞれ独自の動画配信プラットフォームを持つようになりました。日本テレビはHulu、テレビ朝日はABEMA、フジテレビはFOD。そして、残された2局、TBSとテレビ東京が組んでParaviを立ち上げるに至りました。そもそもの動画配信サービス事業者の日本での流れを振り返ると、先ず2015年に「Netflix」が日本でサービスを開始すると、Amazonがプライム会員向けサービスを拡大し、Amazonプライム・ビデオが極めてリーゾナブルな価格で契約数を伸ばしました。これに対して、日本テレビが海外サービス「Hulu」を買収し、民放各社がこぞって動画配信サービス事業者となりました。

そのほか、アニメ専門の「dアニメストア」やスポーツ専門の「DAZN」などの専門ジャンルに特化したものや、「U-NEXT」など幅広いジャンルを取りそろえた国内老舗の動画配信サービスなどがあります。中でも、ディズニープラスなどは、2010年代後半にMarvelを買収するなど、ここでしか見られない独自のコンテンツを持っているため、ディズニーコンテンツと共に、コアなファンを持っています。

また、このような見たい時にいつでも見られる動画配信サービスの中でも、スポーツはライブで見たいもの。いつでもどこでもライブでスポーツを楽しめる「DAZN」などは、スポーツ好きには待ちに待った事業者と言えるでしょう。
さらに、近年携帯アプリで人気なのが、次々と立ち上がった漫画アプリ。移動時間や、コロナ禍になり家で過ごすこと増えている昨今、少しの時間でも楽しめるので、ついつい見てしまい、見始めると止まらなくなって、課金してみてしまいます。

ところで、タイムシフトが普及した今、広告はどうなっているのでしょうか?
ここまで紹介した動画配信サービスは、多くが有料のサービスで、視聴者は対価を払う代わりにCMを見る必要がありません。逆に、概して無料と名の付くコンテンツには、広告モデルがつきものです。典型的なモデルとしておなじみのGoogleは、検索すると同時に出てくる関連広告にアクセスさせる仕組みになっています。Googleが配信する動画サイトYouTubeでもおなじみですよね。

漫画アプリもよくできたもので、動画広告を見ると無料で見られるなど、続きをみたくなるという欲求をうまく利用した仕組みと言えるでしょう。

最後に、民放各局の見逃した番組を視聴可能なTVerと呼ばれるプラットフォームをご紹介します。TVerでは、放映後約1週間のタイムシフト視聴ができます。「月曜9時には間に合わないけど、でもなるべく早いうちに見たい!」という方にはうってつけです。視聴は無料。つまり、ビジネスモデルが広告配信という仕組みです。しかも広告配信の仕組みにも新たな方式が採用されています。番組内で流れるCMは種類が決まっているものの、TVerは登録された個々の視聴者に対して、今まで難しいとされていたターゲティング(視聴者ごとに視聴する広告を変えること)が可能になりました。広告主からすれば、CMを見てもらいたい視聴者を、より高い精度で選別できるわけです。

まとめ

「テレビ番組を放映後に視聴したい」というニーズに応えるのがタイムシフトだとすれば、その歴史は20世紀のビデオデッキの登場から始まり、動画配信や「TVer」へと続いてきたと見ることができます。その間、コンテンツ供給側の収入形態も変わってきました。CMの在り方も変化。お茶の間で家族みんながCMを見た時代、スキップ機能で飛ばされてしまう時代、有料動画配信サービスではCMを見ること自体が不要になりました。そんな中登場した「TVer」は、広告という視点からも新たな可能性を見出す画期的なシステムと言ってよいでしょう。

おっと、もうこんな時間。お気に入りのタレントが出ているドラマが始まっちゃう。でもその前に、ひと風呂浴びて、タイムシフト視聴するとしますか。


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