2025年、東京にて開催が決定となった「デフリンピック」。まだ聞きなれない方も多いかと思われますが、さっそく東京都内の小学校でデフリンピック競技の体験授業が行われるなど、東京開催を機に認知普及が進むと考えられており、注目のコンテンツといえます。
デフリンピックとは
デフリンピックはオリンピック・パラリンピックと同様、夏季・冬季で4年に1回開催される、国際的スポーツ競技大会です。デフ(英語:Deaf)とは聴覚障害のことで、日本では「ろう者」と呼びます。1924年にフランスで第一回の夏季大会が開催され、冬季大会が遅れて1949年にオーストリアで開催されました。主催は国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)で、日本における統括団体は全日本ろうあ連盟(ろう:聴覚障害、あ:発声障害)となります。管轄官庁は2014年4月まで厚生労働省でしたが、以降スポーツ庁が管轄しています。 2022年9月9日・10日にオーストリア・ウィーンで開催された国際ろう者スポーツ委員会総会にて、2025年デフリンピックの開催地が日本に決定し、これを受けて2022年11月22日に東京都や全日本ろうあ連盟は、大会準備や運営体制に関する検討会の初会合を都庁で開きました。日本初開催となる大会に向け、運営組織の構築や開催意義について協議され、マーケティングに関しても、今後の準備が加速化されるものと想定されます。
Tips 聴覚障害(ろう者)のオリンピックであるデフリンピック。2025年の開催都市が東京に決まり、今後のマーケティング活動などが活発化される見込み。
日本におけるデフスポーツ団体とマーケティング
以下は国内の各デフスポーツ団体のウェブサイトです。
(名称後★はデフリンピック公式競技 ※2023年9月時点)
競技の特性としては、耳が聞こえない選手は目から得られる情報(旗やランプなど)でプレーを行うところです。陸上においては、手話による「スポーツサイン」と呼ばれる専門用語やルールの案内がありつつ、ランプの点灯がスタートの合図となります。具体的には「On your mark(位置について)」で赤、「Set(ヨーイ)」で黄、「Go(スタート)」で白にランプが点灯する。短距離選手が用いる『クラウチングスタート』の際には、選手の目線は真下からやや前方に移動してスタートを切る為、目線に合わせた場所にランプが設置されます。このスタートランプに関しては、2017年の大会から日本国内でも採用され、徐々に世界大会を意識して普及拡大されています。
各競技団体のホームページをご覧いただくとお気づきの通り、用具のサプライヤー関連企業が協賛スポンサーについているケースがいくつかある他は、ほとんどの団体で企業協賛が少ない状況で、ある意味でブルーオーシャンともいえます。他の障がい者スポーツと同様、大会に協賛する機会は2025年デフリンピック東京開催が今後セールス開始となる他に、今からでもできる事として、各競技団体に協賛するパターンも是非ご検討いただければと思います。
Tips 現時点では、あまり競技団体への協賛は少ない。2025年デフリンピックまでに各競技団体へのサポートを行うことで、より深くかかわることができると思われる。
デフスポーツの今後について
厚生労働省の調査によると、2014年以降、障害福祉サービスの利用者数は増加傾向にあり、2018年の身体障害者手帳保有者の中で聴覚言語障害者は約34万人となっております。同年の日本補聴器工業会調査では「聞こえにくさを持つ人」は全国で約1,400万人以上、2016年総務省「字幕付きCM調査報告」では難聴を自覚している人が約3,400万人いるとされています。 加齢による聴覚障害の増加もあり、競技人口が増えていくにつれ、社会において聴覚障害者への理解が求められ、テレビでの手話通訳や字幕が徐々に増えています。競技の普及が進み、2025年デフリンピック東京開催を契機に一気に花が開くことが期待されます。 当然ながら、現時点でまだ整備が足りていない各競技団体側も、注目されることでガバナンスの問題や、マーケティングを通して人材の確保などひとつずつ課題解決が求められていきます。
Tips 競技人口は増加傾向。まずは障害の理解から始まり、環境整備が進むことで更なる市場の拡大、競技団体の強化が期待される。
まとめ
他の障がい者スポーツと同様、「共生社会の実現」「SDGs文脈」といった企業の社会貢献において、「何から始めれば良いのかわからない」といった企業が、まずはデフスポーツを通じて活動を開始し、トライアンドエラーを重ねながらもより良い社会の形成の一助になっていただけたらと思います。 まずは、聴覚障害者への理解として、視覚からの情報のみで生活をしていることから何を求めているのかを知ること。競技におけるハンデの克服がどのようになされているのかなどを知り、みなさんの企業でどのように活用できるかを考えていただけたらと思います。